危険物施設における消火設備とは? 危険物取扱者が知るべきこと

危険物の取り扱いや貯蔵を行う場所は、必ず消火設備を整えておかなければなりません。危険物による火災や爆発が起きた際、消火設備が整っていれば被害を最小限に抑えることができます。消火設備をきちんと整えていなければ、その場で働く人たちの命を失う可能性もあるのです。基本的に、消火設備は取り扱う危険物の種類に合わせて整備する必要があります。きちんと消火設備を整えるためには、危険物施設に関する知識を持っておかなければなりません。そこで、本記事では、危険物施設や消火設備の基礎知識・危険物取扱者について説明します。

  1. 危険物施設について
  2. 消火設備について
  3. 危険物施設における消火設備について
  4. 危険物取扱者について
  5. 危険物施設や資格に関してよくある質問

この記事を読むことで、危険物施設の消火設備について知ることができます。危険物取扱者の資格取得を考えている方は、ぜひチェックしてください。

1.危険物施設について

危険物の取り扱いや貯蔵をしている場所は、危険物施設と呼ばれています。危険物施設の定義や種類・審査基準・危険物施設保安員について確認しておきましょう。

1-1.危険物施設とは

危険物施設の定義は、「消防法で指定された数量(指定数量)以上の危険物を貯蔵し、または取り扱う施設」です。危険物の取り扱いや貯蔵している場所は、工業地帯などにあると思っている方が多いでしょう。しかし、危険物の中には、ガソリンや灯油など生活に身近なものも含まれており、ガソリンスタンドなども危険物施設となります。危険物施設は、私たちの生活と近い場所に存在しているのです。よって、安全を徹底することが必要であり、細かい規定や管理者の選任などが決められています。

1-2.危険物施設の種類

危険物施設の種類は、製造所・貯蔵所・取扱所の3つに分けることができます。それぞれの特徴を、以下にまとめてみました。

1-2-1.製造所

危険物を製造する施設のことで、指定数量以上の危険物を取り扱う場合は、市町村長等の許可を取得しなければならない。

1-2-2.貯蔵所

危険物を貯蔵・取り扱う施設。屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所(タンクローリー)の7種類がある

1-2-3.取扱所

危険物の取り扱いや販売を行う施設。給油取扱所(ガソリンスタンド)・販売取扱所・移送取扱所・一般取扱所(ボイラー室)の3種類がある

1-3.審査基準について

危険物施設は、安全が確保された場所でなければなりません。構造・設備・配管において、細かい基準が定められています。大まかな審査基準について、以下にまとめました。

<構造の基準>

  • 天井や壁は燃えない素材を使用する
  • 保管容器は一定の厚みを持った金属
  • 屋外設置のタンクは、さび止めを塗る

<設備の基準>

  • 爆発・発火を防ぐもの
  • 避雷針や防油堤をつくる
  • 排気口を備える

<配管の基準>

  • 通常の1.5倍の圧力をかけても壊れない
  • 風圧・水圧・地盤沈下・温度変化にも耐えられるもの
  • 配管の配合部分から漏えいしないもの

1-4.危険物施設保安員について

危険物施設の定期点検・臨時点検・安全装置などの保安確認を行う人のことを、危険物施設保安員と言います。特別な資格がなくてもできる仕事ですが、危険物施設保安員の監督者である危険物保安監督者は、危険物取扱者の資格が必要です。また、危険物施設保安員は、危険物移送取扱所において、必ず専任しなければなりません。移送取扱所以外の危険物施設においては、指定数量の倍数が100以上の場合に必要です。

2.消火設備について

いざというときに大活躍する消火設備について、詳しくチェックしておきましょう。

2-1.消火設備とは

消防の用に供する設備(消防用設備等)の1種が、消火設備です。ほかにも、警報設備・避難設備があります。消防用設備等は、消防法(第1条)において「国民の生命、財産を火災から保護する」という目的を持っている設備です。消火設備の機能を発揮するためには、防火対象物に応じた設備を正しく設置しなければなりません。設置基準などは、消防法令に基づいて定められています。

2-2.消火設備の種類

消火設備は、第1種~第5種と全部で5種類に分かれています。それぞれの特徴をきちんと把握しておきましょう。

2-2-1.第1種消火設備

第1種消火設備は、屋内消火栓設備と屋外消火栓設備があります。屋内消火栓設備は、屋内の火災を消火する設備で、防水性能が優秀です。そして、屋外消火設備は、屋外から消火活動を行うための設備で、延焼防止目的があります。

2-2-2.第2種消火設備

第2種消火設備は、スプリンクラー設備が指定されています。スプリンクラー設備は、天井に設置されている消火設備で、熱に反応し、自動的に散水する仕組みです。オフィスビルなどの高層建築物や地下街などに設置されています。

2-2-3.第3種消火設備

第3種消火設備は、ハロゲン化合物・消火粉末・二酸化炭素・泡・水噴霧・水蒸気を放射する消火設備のことです。

2-2-4.第4種消火設備

第4種消火設備は、大型消火器が指定されています。小型消火器とは違って、大きく、運びやすくするために車輪が取りつけられているのが特徴です。

2-2-5.第5種消火設備

第5種消火設備は、水バケツ・水槽・小型消火器・乾燥砂が指定されています。一般的な火災に用いられる消火設備です。

2-3.目的・必要性

いつどこで火災・爆発が起きるのか分かりません。たとえば、火の元の不注意から火災が発生し、多大な損害を被る可能性があります。実際に、消火設備が不十分だったせいで、消火ができずに命が奪われた事件もありました。消火設備は、いざというときに人命を守る大切な設備です。火災や爆発が起きても、被害を最小限に抑えるためには、きちんと設備を整えておかなければなりません。

3.危険物施設における消火設備について

それでは、危険物施設における消火設備について詳しく説明します。

3-1.設置基準について

危険物施設における消火設備は、設置基準が細かく定められています。場所や取り扱っている危険物によって異なりますが、主な区分は著しく消火困難な製造所・消火困難な製造所・そのほかの製造所に区別されるのです。

  • 著しく消火困難な製造所:第1種~第3種の消火設備と第4種・第5種消火設備の設置が必要
  • 消火困難な製造所:第4種・第5種の消火設備が必要
  • そのほかの製造所:第5種消火設備の設置が必要

そのほかの製造所としては、移動・地下タンク貯蔵所・屋外の給油取扱所・簡易タンク貯蔵所・第1種販売取扱所が挙げられます。

3-2.必要性・重要性

危険物は、一般的なものよりも火災・爆発のリスクが高いものです。第1類~第6類まで種類が分かれており、それぞれ適した消火方法があります。いざというときに備えて消火設備を徹底しておかなければ、さらに被害が広がりやすくなるのです。危険物施設で働いている人や近隣の安全を確保するためには、消火設備を整えなければなりません。危険物の種類とそれぞれの消火方法について以下にまとめましたので、ぜひチェックしてください。

<危険物の種類>

  • 第1類:酸化性固体
  • 第2類:可燃性固体
  • 第3類:自然発火性物質および禁水物質
  • 第4類:引火性液体
  • 第5類:自己反応性物質
  • 第6類:酸化性液体

<危険物ごとの消火方法>

  • 第1類:多量の水による冷却消火、または粉末消火剤や乾燥砂を用いた窒息消火
  • 第2類:水・強化液・泡による冷却消火、乾燥砂・不燃性ガスなどの窒息消火など
  • 第3類:乾燥砂による窒息消火、水・強化液・泡による冷却消火
  • 第4類:強化液・泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末による消火
  • 第5類:アジ化ナトリウムの場合は窒息消火、それ以外の場合は水・強化液・泡による冷却消火
  • 第6類:ハロゲン間化合物の場合は窒息消火、それ以外の場合は水・泡による冷却消火

3-3.消火設備の適用

消火設備が適用される場所は、危険物を取り扱っている施設です。しかし、対象物によって所要単位が異なるため、注意しなければなりません。主な設置対象物と所要単位について、以下にまとめてみました。

  • 貯蔵所の建築物(耐火構造の外壁):延べ面積150平方メートルにつき1所要単位
  • 貯蔵所の建築物(耐火構造でない外壁):延べ面積75平方メートルにつき1所要単位
  • 製造所・取扱所の建築物(耐火構造の外壁):延べ面積100平方メートルにつき1所要単位
  • 製造所・取扱所の建築物(耐火構造でない外壁):延べ面積50平方メートルにつき1所要単位
  • 危険物:指定数量の10倍につき1所要単位

3-4.規則について

危険物施設における消火設備の規則は、消防法に基づいて定められています。消防法上の規則において、「指定数量以上の危険物の貯蔵・取り扱いは、製造所・貯蔵所または取扱所以外の場所で行ってはならない」ことが基本です。そこから、危険物施設の設置・変更の許可(第11条)や位置・構造・設備の技術上の基準(第10条・第12条)、貯蔵・取り扱いの技術上の基準(第10条)など、細かく分かれています。

4.危険物取扱者について

危険物取扱者は、危険物の取り扱いや保管・管理などの業務を許されている唯一の有資格者です。危険物取扱者の試験を考えている方は、ぜひチェックしてください。

4-1.危険物取扱者の業務内容

危険物取扱者の業務は、危険物の取り扱い・取り扱いの監督・危険物施設の点検などです。基本的に、危険物関連の仕事一体を引き受けています。ガソリンスタンドや工場・ボイラー設備のある場所が職場となり、いざというときの対策を立てることも仕事の1つです。

4-2.資格の種類

危険物取扱者の資格は、取り扱う危険物の種類によって甲種・乙種・丙種(へいしゅ)の3つに区別されます。それぞれの資格内容を以下に記しましたので、受験前に必ず確認してください。

  • 甲種:第1種~第6種までのすべての危険物取り扱い・立ち会いが可能
  • 乙種:免状を取得した類の危険物だけ取り扱い・立ち会いが可能
  • 丙種(へいしゅ):第4類危険物のうち特定の危険物だけ取り扱いが可能

4-3.試験概要

危険物取扱者試験の受験資格や申し込み方法、試験日・試験地について説明します。

4-3-1.受験資格

乙種と丙種(へいしゅ)に受験資格はありませんので、誰でも受けることができます。ただし、甲種は受験資格があるので注意してください。甲種を受験するためには、以下の項目のうち1つ以上をクリアする必要があります。

  • 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
  • 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
  • 乙種危険物取扱者免状交付後、2年以上の実務経験を有する者
  • 第1類または第6類・第2類または第4類・第3類・第5類の4種類以上、乙種危険物取扱者の免状を有する者
  • 修士・博士の学位を授与された者で、化学に関する事項を専攻した者

4-3-2.申し込み方法

危険物取扱者の試験を実施しているのは、一般財団法人消防試験研究センターです。申し込み方法は、書面申請と電子(インターネット)申請の2つがあります。書面申請の場合は、受付期間内に書類をセンターへ申請し、必要事項を記入した上で各都道府県の支部または本部に出してください。電子申請の場合は、ホームページから行います。

4-3-3.試験日・試験地

試験は、前期(4月~9月)と後期(10月~3月)に分かれています。各都道府県で試験が実施されており、試験日が異なるので注意しておかなければなりません。試験日に関しては、以下のURLで確認してください。

試験日ページ(一般財団法人消防試験研究センター)

4-4.合格率・難易度

甲種は3割前後、乙種は7割前後、丙種(へいしゅ)は6割前後となっています。乙種の4類に限り、合格率が4割前後です。これは、危険物第4類がガソリンや灯油など身近なもので、初めて受験する方が多いからでしょう。受験者が多いこと、初めて受ける方のほとんどが乙種4類を選ぶため、合格率がほかの類よりも下がっているのです。難易度が高いわけではありませんが、しっかり勉強しておかなければ合格は難しいでしょう。

4-5.試験勉強のコツ

危険物取扱者の試験を受験するほとんどの方が、働きながら勉強をしています。しかし、仕事と勉強の両立は大変なことです。「勉強する時間がない」と困っている方は、自分のペースで勉強できる通信講座をおすすめします。特に、SATの通信講座は、DVD映像とテキストがセットになっており、DVDに収録されている映像はスマートフォンでも閲覧可能です。さらに、分からない箇所があれば、担当の先生にメールで尋ねることができます。

5.危険物施設や資格に関してよくある質問

危険物施設や資格に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

5-1.危険物施設における定期点検の頻度は?

危険物施設の定期点検は、地下タンク貯蔵所・地下タンクを有している製造所や給油取扱所・異動タンク貯蔵所・移送取扱所において、年に1回義務づけられています。ほかの施設に関しては、特に義務はありませんが、定期的に劣化状態など設備の確認が必要です。

5-2.消火設備の設置が義務づけられている防火対象物とは?

消防設備の設置や点検が義務づけられている建物は、特定防火対象物と非特定防火対象物があります。特定防火対象物としては、劇場・映画館・ナイトクラブ・カラオケボックス・飲食店・百貨店などが、非特定防火対象物は小学校・図書館・工場・映画スタジオなどが挙げられるのです。

5-3.消火設備の注意点とは?

特に、注意しておきたいのが消火器の使用期限です。消火器は使用期限が定められており、業務用消火器が約10年となっています。10年以上経過した消火器は、本来の機能を発揮しません。火災が起きたときに対処できないため、使用期限もきちんと確認することが大切です。

5-4.危険物取扱者の求人傾向は?

危険物施設がなくならない限り、危険物取扱者の求人はあります。資格は3種類ありますが、中でも、すべての危険物が取り扱える甲種は需要が高いのです。ただ、いきなり甲種を受けるのは大変なので、まずは、乙種4種を取得してある程度経験を経てから、甲種を受けるという方が多く見られます。

5-5.危険物取扱者の資格は永久に持ち続けられるのか?

危険物取扱者は、1度合格すれば永久に持ち続けることができます。しかし、10年ごとに顔写真を更新しなければなりません。更新を忘れたからと失効することはありませんが、忘れないように注意しておきましょう。

まとめ

いかがでしたか? 危険物施設は、危険物の取り扱いや保管・移送を行う場所のことで、消防法に基づいた設置基準をクリアしなければなりません。また、危険物施設に必要不可欠なのが、消火設備です。消火設備は、取り扱う危険物の種類に合った設置が義務づけられています。火災や爆発など、いざというときに消火設備が整っていれば、被害を最小限に抑えることが可能です。人命や財産を守るためにも、消火設備に関する知識を習得しておきましょう。


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